データアナリティクス企業のTableau社がインド政府教育省のAICTE(All India Council for Technical Education)と提携したことを発表しました。2021年夏のニュースですので、発表からすこし時間は経過しています。
ここで出てくるTableau (タブロー)とは、データを活用して美しく可視化・分析することに優れているBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)です。
他のBIツールにはPowerBI (Microsoft)、Qlik Sense (Qlik)、Locker (Google)などがあります。
Tableau社の共同設立者の一人はPixar出身です。なんとあのトイ・ストーリーや、ファンディング・ニモを生み出してきたアニメーション映画会社のPixarです。
Tableauはビジュアルの美しさでのこだわりが特に素晴らしいとされているアプリケーションです。Pixar x BIツールとは非常に興味深い組み合わせですので、別の機会に述べてみたいです。
このTableauで、サンプルとして配布されている練習用データからダッシュボードを作成するとこのような画面になります。

インタラクティブなダッシュボード例はこちらのリンクから見られます。(PCでの閲覧を推奨)
さて、このデータアナリティクス企業 Tableau社とインド教育省がパートナーシップを結び国家プロジェクトとして高等教育機関でのデータ人材育成をはじめたという記事でした。
このパートナーシップを通して、AICTEは今後2年間をかけて50万人のインド人学生と教員を対象にトレーニングを行う予定です。 (AICTE, Chief Coordinating Officer, Buddha Chandrashekhar)
2年間で50万人の人材育成とは、一体どのくらいでしょうか。
インドと日本では人口が異なりますが、ざっくりとそのまま日本に置き換えて考えてみます。日本の一部上場企業の全従業員数は約280万人 (2021年3月期) [2] とされていますので、一部上場企業従業員の1/6程度の規模のデータアナリティクス人材プールが生まれるということです。
この取り組みの中で興味を持ったのが、人材育成トレーニングの手法です。
① AICTEが200人以上の教育者を「Tableauチャンピオン」と名付けて、他の教育機関に派遣する。
↓
② 派遣先でワークショップやe-ラーニングを活用することにより、派遣先で1~2人の別の人間を新たに教育する [1]
その人材たちが高等教育機関で学生たちを指導していきます。
これを繰り返すことで、データアナリティクス人材のプールを確実に拡大していきます。
5G導入後は、データやデータ分析の分野での雇用の選択肢が増えるとする報告書があります。われわれは、学生や教員が将来的にさらに良い機会を得られるような形で力を与えたいと考えているのです。 (AICTE, Chief Coordinating Officer, Buddha Chandrashekhar)
Courseraによる「Global Skills Report 2021」によると、インド人は機械学習や数学に高い能力がある一方で、データ分析・可視化のスキル習熟度はそれぞれ25%と38%と低くなっていたそうです。インドでは、データスキルギャップを埋める取り組みが続いています。[1]
TableauコミュニティはLinkedInやFacebook、Twitterなどソーシャルメディアで非常に活発な活動をしています。その中でもインドの方々の投稿がとても多くパワフルだと感じています。
ちなみに、LinkedInの中のとあるTableauファンコミュニティはグローバルで6万人以上のメンバーがいます。
インドから熱気を感じるニュースでしたので紹介してみました。
教育省のコメントが、前向きにより良い未来の姿を見据えていて素敵だと思いました。
Reference
[1] Alawadhi, N. (2021, August 25). Tableau, AICTE partner to train 500,000 students in analytics in two years | Business Standard News.
[2] 上場企業1,898社 2021年3月期決算「従業員数」調査 : 東京商工リサーチ (tsr-net.co.jp)